貧しい者は信ずるヨユウなんかないのだ

頭がぼーっとする。エアコンをつけているので、熱中症とかそういうのではない。集中ができない。

昨日の夜カフェに行って本を読むのに挑戦してみたら、思いのほかすらすら読めた。本当に何週間か何か月かこんな状態になれなかったのでとても嬉しかった。というわけでひとつの仮設を立ててみる。私は集中力が落ちたわけではなく、夜にならないと集中できないのではないか。この暑さのせいで日中の集中力が落ちているのではないか。

自炊もなかなかできない日があるのは、もしかしたらこの暑さのせいかもしれない。

私は冬の寒さが大嫌いなので「自分は夏が過ごしやすいですね」などと言って暮らしてきたが、嘘かもしれない。だいたい連日暑すぎるし。

というわけで、今日明日にでも夕方から動けるかチャレンジをしてみたいと思う。そこで本を読んだり自炊ができたら本当に嬉しい。そういうことができないと、私の自己肯定感が下がる一方だから。

ちなみに今は林芙美子の「放浪記」を青空文庫で読んでいるのだが、日記文学だからか読みやすい。題材も今の体調にちょうど良かったのかもしれない(主人公はずっと困窮しているが…)。

 

信ずる者よ来れ主のみもと……遠くで救世軍の楽隊が聞えていた。何が信ずるものでござんすかだ。自分の事が信じられなくてたとえイエスであろうと、お釈迦さまであろうと、貧しい者は信ずるヨユウなんかないのだ。宗教なんて何だろう! 食う事にも困らないものだから、あの人達は街にジンタまで流している。信ずる者よ来れか……。あんな陰気な歌なんか真平だ。まだ気のきいた春の唄があるなり。いっそ、銀座あたりの美しい街で、こなごなに血へどを吐いて、華族さんの自動車にでもしかれてしまいたいと思う。

『新版 放浪記』,林芙美子,青空文庫,p101-102