2016年を生きる日本人が見るべき映画「シン・ゴジラ」一回目 気づいたことメモ ネタばれあり

特撮と聞けば、なんだか男の世界というか、私には縁がないんじゃないか、俺には楽しめないんじゃないかと一歩引いてしまう方も多いのではないだろうか。私も特撮に関する知識は全く無く、唯一見たことがあるのは庵野秀明が学生時代に撮ったウルトラマンの自主制作映画で(庵野秀明自身が大きくなり、ウルトラマンを演じている)、申し訳ないが全く面白いと思えなかった。ゴジラもおなじみのあの音楽くらいしか知らない。だから、「シン・ゴジラ」を見る前は、特撮もゴジラも知らない私が本当にこの映画を楽しめるか不安だった。

だが心配は御無用。結論から言うと全く退屈しなかった。時折はさまれるエヴァの音楽に興奮しつつ、二時間はあっというまに過ぎた。

まず、しょっぱなから独特のカメラワーク全開の庵野節炸裂!!!後半に出てくる線路が映るシーンなどまさに庵野秀明!どことなく彼の実写映画「式日」をほうふつとさせる。

俳優陣も大変豪華だ。前田敦子が出てきて「あ、前田敦子だ」と思っている間に彼女の出番は終わり、その後出てくることは無かったり、斉藤工を少しだけ操縦主として出したり。実力の伴わないもの、雰囲気を壊しかねないものはワンシーンしか出さない徹底ぶり。

ゴジラがようやく登場したか!?と思えば、会議会議会議の連続で、ゴジラの立ち入る隙は無し!まさに事件は現場じゃなくて会議室で起きていた!!会議はずーーーーっと続き、しかしそれも軽快なテンポと、独特なキャラクターたちのおかげでずっと見ていられる。

そして満を持してゴジラ登場と思いきやこのゴジラ、めちゃくちゃ気持ち悪いのだ。私が知ってるなんとなく動きがぎこちなくて、目がクリっとしてるあのゴジラじゃないのだ。歯並びは悪いし、色も気持ち悪いし、しっぽまで気持ち悪いという、攻撃されていても全然かわいそうだと思えない憎しみの対象…それがシンゴジラなのだ。このゴジラという存在をどのように見るかは人それぞれだと思う。放射能、福島の津波、原爆、犠牲者…いろいろな見方があるだろう。私はあえてそれを決めない。ゴジラはその全てであるし、虚構でもあると思うから。

何だかよくわからない、倒すことの難しい存在に出会ったとき私たちはどうするか。沈黙するか、ただひたすら攻撃するか、交渉の余地をさがすか。今回彼らが選んだのは攻撃だったが、しかし、ゴジラは死んではくれない。

エヴァンゲリオンに使徒という存在がある。彼らはよくわからない、どこからやってくるのかもわからない謎の生き物だ。だが攻撃してくるからには、攻撃するしかない。自分が死んでしまうから。使徒は、倒すと血のようになり、その姿を消す。それがエヴァ庵野秀明が描いた使徒だった。

だがゴジラは消えてはくれない。凝固剤で固まって、東京にいる。もしかしたらいつか目覚めるのかもしれない。それすら私たちにはわからない。ただ、そこにいる以上共存するしかないのだ。嫌だとか無理だとか、そんな言葉は何にもならない。そこに存在しているから。それはあなたにとって虚構か?それとも、災害といういつ襲ってくるかわからない恐怖の対象か?

小難しいことを書いたが、ゴジラが虚構かどうかという話だけでなく、見ていて楽しめる場面もたくさんあります!特に新幹線大爆破よろしく無人在来線爆弾!!!!!今までゴジラに壊されてばかりだったビルティングがあんな風にゴジラに復讐するなんて!!とにかく何でもいいから映画館に急げ!!2016年を生きる日本人がいま全員見るべき映画!

明日は二回目。また追記します。

 

あと気付いたこといくつか

・船の中の机の上に宮澤賢治の「春と修羅」が置かれている(青空文庫で読むことができます)。

・トンネル?の中でパニックになっている前田敦子

・戦車の操縦主をつとめる斉藤工

・飛鳥と書かれた看板

庵野秀明監督の出身地の宇部ネタあり(避難場所に指定されている小学校)

・警視総監?の部屋の書、二枚。一枚は四字熟語、もう一枚は文章が書かれている。何と書いてあるかはわからず。

・首相代理のラーメンがおそらくニンニクラーメンチャーシュー抜き

・職員の携帯の待ち受けが奥さんと子どもの写真。霞が関チームの家族が描かれる数少ないシーン。

・都知事は不在

・公開日である7月29日と書かれたタオルを使っている

ヤシマ作戦 ヤシオリ作戦

ゴジラ 凝固剤注入時、歯医者さんに口の中をいじられてるみたい

ゴジラ 母親っぽい

・映画の中で人間を超える力は存在しない。巫女も博士も超能力者もいない。ゴジラだけがGODである。

・人が死ぬ。人がちゃんと死ぬのはえらい。

 

 

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