「女性たちの貧困”新たな連鎖”の衝撃」を読んで

 

女性たちの貧困 “新たな連鎖

女性たちの貧困 “新たな連鎖"の衝撃

 

 読みました。NHKで放送されたもの、放送されなかったものも含めてまとめられた本です。貧困に苦しむ女性たちの声がつづられています。

目次には、中身を読まなくても「え…」と声が漏れてしまうような見出しが躍ります。

「理想はただ普通の暮らしをすること」、「キャバクラで働き高卒認定を目指すシングルマザー」、「風俗店の寮で亡くなった幼い姉弟」、「娘が風俗店で働いてもかまわない」、「三十歳まで生きたら、もうそれでいい」……。

 

この本を読んでも正直感想は湧いてきません。ひどいな、これが現実の人もいるんだな、そんな感じです。私はこの本を読んで何を言ったらいいかわからない。自分からは遠いことのように感じる。でも違うんですよね。私だって、就職できなくて一生バイト暮らしになって、病院行けなくて死ぬかもしれない。うまく就職できても、月に10万円ももらえなくて、家賃が払えなくなって、ご飯も食べられなくなるかもしれない。私にとってもこれは現実なんですよね。遠い出来事じゃないんです。それがすごくこわい。

 

私にとって一番印象的だった部分を抜粋します。母、自分、妹の三人で、ネットカフェに二年以上住んでいる彩香さんの話です。記者に「夢みたいなことってあるのかな?」と聞かれた彼女。p202、203から。

 「特にないです 。なんだろう。それも全然覚えてないです。なんか期待しても、どうせ叶わないとか、そういう風に思っちゃうから。だったら、最初から期待しないでおこうと。自分の人生に、あんまり期待もしてないし、社会とかにも期待はしてない。もう、なんに対しても期待を持てないかな。

 今はなんか、普通に暮らせてればいいやっていう思いしかないんですよ。

(中略)

 なんか、もう、ここまできちゃうと、こういう運命なのかなって。自分にいい聞かせているというか、そうしないともう働くのも嫌になっちゃうし、生きてるのも嫌になるというか」

 

いつから日本はこうなったんだろうね、子どもが希望を持てないなんて悲しいよね……そう言うのは簡単だ。では、おかしくなってしまった国をどう立て直せばいいのか。少なくともネットで日本批判なんてしていても何も解決しない。現状を把握、なんて言って本を読んでるだけでもだめだと思う。じゃあどうすればいいのか。もしかしたら、もしかしたらだけど、どうしようもできないことってあるのかもしれない。どうしようもできないことに直面した時ってどうすればいいのだろうか。

力を蓄えて、備えること。もし貧困に出くわしたら、蓄えておいた力と備えていたものが役に立つと思う。けれど、その時間さえ与えられない人がいる。

こんな現実があるんだね、で終わらせたくはないけれど、通り一遍のことを言わないで問題に向き合いたいという気持ちはあるけれど、ただ気持ちだけが空回りする。感想など無い。おわり。