冬が終わるまでに
11月が来て、毎日楽しすぎることも辛すぎることもなくて、普通ってこういうことなのかなって日々。
笑い声の大きい同級生、授業のつまらない先生、席を詰めてくるおばさん。気に障ることもたくさんあるけど、冬の始まりの冷たい空気は、張り詰めていて、何もかもを美しく見せる力がある。
まあ仕方ないか、と納得してしまうような冷静な冷たさ。
君の存在は相変わらず遠くて、私のとなりには誰もいない。君のとなりにも誰もいないはずなのに、美しく強く見えるのはなぜだろう。
ねえ、あの子があなたを好きだって知ってる?
あの後輩があなたをかっこいいって評してたよ。
全部教えたあと、耳元でささやきたい。
「でも誰よりもあなたを知ってるのは私。私、あなたに一番を全部あげる」
一番好きも一番嫌いも、私を一番泣かせるのもあなた。
冬が終わる前に、私に気づいて。
じゃないと、溶けて死んじゃう。