薔薇の足跡

王子様になりたがっていた君の使い魔がわり

の仔猫はもう小さなままじゃない。温室を抜

け出して駆け回る姿は、猫のように自由で花

のように笑っていた。薔薇の指輪に導かれな

くてもどこでもどこまでも行けるって教えて

くれたのは、他でもない君自身だった。手を

離そう。さがしているのは僕じゃない。一人

でも歩いて行けるなんてありきたりな台詞は

言わないよ。君はすでに一人じゃない。