映画「コクリコ坂から」 感想

遅ればせながら映画「コクリコ坂から」を観ました!監督・宮崎吾朗氏ということであまり期待していなかったのですが(ゲド戦記は最後まで見られなかった)…コクリコは良かった!!

映画のレビューサイトを見ていると、地味だとかストーリーに面白みが無いだとか言われています。華やかさには欠けるかもしれないけど、私はそのこぢんまりとした感じがとても好きでした。

舞台は戦後、オリンピックも間近に迫る日本の神奈川県。主人公の松崎海は自宅兼下宿のご飯当番を引き受ける女子高生。彼女の通う高校ではカルチェラタンと呼ばれる部室棟の取り壊しが計画されていました。海は取り壊しに反対する風間俊という青年と次第に惹かれあっていきますが、2人の出生の秘密がその恋を阻むのでした…。

上映時間は91分と短く、説明不足では?と感じるところもありました。

まず誰が海ちゃんの家族で、誰が下宿している人なのかわからない。なのでお母さんとお父さんも現在どうしているのかよくわからず、特にお母さんは死んでいるのか生きているのか途中までよくわかりませんでした。

誰が何という名前だったかもわかりにくかったです。私はめがねの青年が風間俊くんよりも好きだったのですが、名前がわからずずっとめがねかっこいいめがね良いと言っておりました(途中で水沼という名前だと分かりました)。

それから、これが一番重要なのですが海ちゃんがずっと「メル」って呼ばれてるんですね。メル?はてな絶望先生?…調べてみると海はフランス語でラ・メールと言うのだそう。それがメルというあだ名になったんですね。これは見ている間ずっともやもやしたので、なぜ彼女がメルと呼ばれているのかという説明は入れて欲しかった。

風間「メル?君のあだ名?」

海「そう、フランス語で海はラ・メールって言うんですって。それで、メル」

とかそういうシーンを一つ入れて欲しかったです。

 

お父さんたちの思い、先人たちの知識、それを受け継ぐのが海や風間やカルチェラタンの建物。

宮崎吾朗監督ということで、父・宮崎駿への思いが映画の中に盛り込まれているのではとか、あのシーンはジブリのあの作品に似ているとか、風間も海も父という存在への執着が強かったがそれは吾朗監督自身のことなのではとか色々と勘ぐってしまう部分もありました。宮崎吾郎監督の作品を見るときはどうしてもそういう色眼鏡で見てしまいます。もう少しまっさらな気持ちで彼の作品を見ることができれば良いのですが。

 

後はもうとにかく良かった。音楽の使い方が良いし、手嶌葵の歌声にすごく助けられた作品だと思います。海ちゃんが走るシーン、彼女の必死な表情とバックに海というあのカットは素晴らしいと思いました。美しかったです。

青春と恋心と学生運動が暗くなりすぎずにちょうど良いバランスで描かれていて、初恋の人を思うような優しくて懐かしいあたたかな作品です。

みなさんもこの夏の一本にいかがですか?