しあわせになりたい
「しあわせになりたい」というタイトルの漫画を買った。
すさまじいタイトル。
私は、タイトルだけで漫画を買ってしまうことがある。ジャケ買いならぬタイトル買いだ。
小説はタイトルに勝負をかけているものが多いので、なかなかタイトル買いはしない。ひねくれていると思う。
どきりとするようなタイトルを見つけた時、嬉しくなる。わくわくする。この中にはどんなお話が描いてあるのだろう。
「しあわせになりたい」は、短篇集である。私はこの作家の漫画を始めて読んだ。他にも作品集があるようなのだが、1と2は売り切れていて、この3だけが書店に置かれていた。
昔の少女漫画チックな絵柄で、カバーを外した表紙が美しかった。表題作が一番好きだ。
亡くなった人はかえってこない。だからと言って、生きている人が悲しみを背負ってしまうことはないのだ。生きている人は自分の人生を生きてもいいのだ。だから、悲しいという気持ちが日に日に減っていくのは悪いことでは無いと思う。少女がしあわせになりたいと願うことを誰が止められるだろう。
「人生は二日だけ」という漫画も読んだ。これも絵柄がレトロで、とてもかわいらしい。
表題作と、兎の生る木がとてもとても好き。
中学生から高校生くらいの少女というのはとても危うくて美しい。その瞬間を永遠に閉じこめることは、現実の世界ではできないことだ。けれど、漫画ではそれができる。
人生は二日だけというタイトルを見て、いまは別々に暮らしているおばあちゃんが言った。「人生が二日だけなんてさみしすぎるわ」。
私もそう思う。けれど、誰かの中で生き続けることは可能だと思うのだ。私がこの漫画を見るたびに、おばあちゃんのことを思い出すのと同じように。