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おおきくなりたくありません

すきなものはたくさんあります。苦手なものはこころのほつれ。

女神のセックス

物語

あんたさあ、アレって本当なの?アレだよ、あの男としたって話。

まあ本当だね。

なんで?なんでなわけ?よりによってって感じじゃん。何を考えてるのよ。

何をって、別に私なりに、まあ、してもいいと思ったというか。むしろしたかったのよ。

どうしてあいつなわけ?あの人が他の女の子と遊んでるのも知ってるはずじゃん。大体、彼女と付き合う前から他の女の子と天秤にかけてさ、そういうの間近で見てきたはずでしょあんたは。

間近で見たきたからこそよ。あの人も、ようやく遊ばなくなってきたから。

はあ?去年だって山本とやってたじゃん。その話してたのあんたでしょ。

でも、それはもう終わったし。私にも、大体わかってきたから。

何が。

彼はね、もうモテないよ。かつてほどの魅力はないもの。容姿は衰えるし、ありあまるほどのお金があるわけじゃない。彼はもう、第一線の人間じゃないの。それをあの人自信がわかってきてる。だから過剰な自信ももう無い。もうすぐ、あの人には何も無くなっちゃうの。

それと、あんたとあいつがしたことと何の関係があるわけ。

女神になるのよ、あの人の。傷ついたあの人の、女神になるの。私は最後の女になりたいの。美しくも強くもなくなった、本当は何の魅力もない空っぽなあの人の、女神になるのよ。それは私にしかできないし、私ならできることだと思うの。そのために、見てきたんだから。

…女神になってどうするのよ。

あの人の子どもを産むのよ。その子はきっと天使みたいに愛らしいわ。私はその子をあの人みたいに育てたいの。

あんた、意味分かんないよ。おかしくなっちゃったわけ?

おかしくなんて。あの人に比べたら私は普通よ。でも、あんな空っぽな狂人と暮らせるのは私だけだから。

彼女の携帯が震える。いや、もしかしたら震えていたのは私なのかもしれない。おそらくあの男からのメッセージだろう。女神?何を言っているんだろう。あんたは誰よりもあいつを憎んでいたじゃないか。殺したいって言っていたこともあった。なのにあいつのところに行くんだね。結局あいつの一人勝ち。女神?あんたは既に女神だったよ。愛すべき女神。でも今日からあんたは一番憎い女神になった。醜くなれ。お願いだから、早く醜くなってくれ。その男と共に、見えないところに羽ばたいていってくれ。