春琴抄と今日のこと

去年NHKの番組をきっかけに谷崎の「春琴抄」を購入して読んだのだが、今年青空文庫で読めるようになったそうで、私はもう少し待っておけば良かったもったいないなどと思うはずもなく、むしろもう一度購入したって良いくらいこの作品が好きだ(新潮文庫の「春琴抄」のカバーは赤色で大変美しいのでおすすめである)。

この作品のどこが好きかというと、内容に関してはもちろんなのだが(佐助の泣く声がうるさくて夜眠れないと親に言われ、稽古を辞めるかと思いきや佐助はそれ以来辛くても決して声を立てなかった…とかそっちかいってなる)音読すると非常に楽しいという所だ。特に春琴のセリフは、自分の中の何かが解放された気分になる。普段の自分を忘れ、春琴の気持ちになりながら佐助を叱って欲しい。

無料なのでたくさんの人が読んでくれればと思う。読み始めは句読点や改行が少なく「うっ…」と思うが、すぐ慣れる。それに、内容がはちゃめちゃに面白い。登場人物も立っている。ある意味ライトノベル的作品であると思う。

SM小説変態小説とも言われるが、これは関西の言葉を楽しむものでもある。古き良き関西の言葉を声に出して読んでみて欲しい。春琴の気持ちになって佐助を叱って欲しい。そして、何度も読んだあとはそれを録音してインターネット上にアップロードしてくれないだろうか。三味線の音のような深く響くあなたの声は現代の春琴抄となってインターネットの海に流れていくだろう…。

 

今日は久しぶりに何もしない日だった。ひたすら眠った。心と身体が回復した気がするので、たまにひきこもるという事は私にとって大事なのだなと再確認した。明日からはまた頑張ろう。