おとなになりたくありません。

「おおきくなりたくない。」

そんな私の気持ちをキャッチしたのか、体が上手く機能しなくなった。若い女性に必ずあるものが私には無くなってしまったのだ。けれど、心は依然として敏感である。ちょっとしたことで痛がるし、良い気持ちにさせるにはとんでもない労力が必要なのだ。これには私も困っているのだが、しかし心が動くうちはまだ大丈夫だと思うことにしている。毎日悲しみに暮れるのも本当につらいけれど、何もなくなってしまう瞬間が来るのが一番こわいと思う。何も無くなったあとは、やる気も悲しみも嬉しさも無くて、かろうじて瞳から涙がこぼれることがある。そこで初めて自分の感情に気づくのだ。

「おおきくなりたくない。」とは言っても、私はとっくに大人の体になってしまった。心は追いついていないのに、この体は何だってできるのだ。大人みたいなことが全部できる。なのにどうして持て余してる?

心と体の不一致はつらい。でも、不一致なのには理由があって、どこかがおかしいということをその違和感が教えてくれている。危険信号に気づいたら今すぐ労わってあげてくれ。ちょっと遅くなったけど、なんて言ってたら遅すぎるんだから。