また遊ぼうねって

彼女の顔がうまく思い出せない自分に気づいてはっとする。パスタを食べた時も、パンケーキを食べた時も、彼女の向かい側に座って目を見て話したのに。

あれは夢だったのかもしれない。昨日買った洋服屋のレシートも、うまく落書きできなかったプリクラもきちんと残っているのに。

雑貨屋で見つけた砂時計のように、ひっくり返すとサラサラと記憶が落ちていく。それは心の底に溜まって行って、手で掴む事は難しい。

「人と話すことってこんなに楽しいんだね」と言った彼女に、切なさを感じたあの時。もっと広い海に出かけて、海水のしょっぱさを知るのはいつになるだろう。

将来の事が想像できない私たち。何になりたいとか、夢とか、最終目標が無い私たちは、このままじゃいけないってことだけなんとなく感じてる。

自分にはこれしかないんだって思い込みながら生きていくしかないよね、なんて大人な事は言わない。本当にこれだけなんだって信じてやっていきたいんだ今は。