心のなかで隕石が落ちた日

昨日、ひこうき雲を見かけた。薄暮の中のひこうき雲は、燃えるように真っ赤できれいだった。

ひこうき雲だよ、見て」

「あ、本当だ」

「真っ赤やね、燃えてるみたい」

「もしかしたら隕石かな」

「え、隕石…。隕石落ちたらどうするの」

「さあ…」

「もし隕石が落ちて世界が無くなったら、見ていたのは私たちふたりだけになるね。証明しようがないもの。きっと落ちた瞬間に世界は無くなる気がする」

 

隕石ではなかったひこうき雲。私たちは鍋の材料を買って帰った。白菜が美味しかった。借りてきたDVDを観たけれど「1と2のほうが面白かったね」と言い合った。