映画「17歳のカルテ」に感じる懐かしさと、一生普通になれないという恐怖。

前回までのあらすじ

ブログの執筆者である<狼>ことわたくしは、雨宮まみの「女子をこじらせて」の感想を書いた。処女という観点から最近つらかったことや恋人だった彼のことを書き、満足したのもつかのま…アクセス数800の文字に喜びながらも、ビビる。彼にこの記事がみつかったらわたしどうやって謝ればいいのかしら…いや、こんな広大なネットの海でそんな出来事は起こらないはず。

彼の存在におびえていたその時、購読していたブログのユーザーさんがスターをつけてくれ気分はハッピーハッピー、ノンブルーブルー。

揺れ動く心。狼の次なる行動は…!?

 

 

と、まあこんなことがありまして…。

私は嬉しくてびっくりして、でも彼のことをネタにした罪悪感があって気持ちが揺れております。

そして、1度アクセス数が伸びるということを体験するとそれをまた味わいたくなってしまう。なので、コンスタントに記事を投下しよう…などとも思いました。

けれど、思ったままを書いた記事がウケたということは小細工は無意味なのでしょう。いろいろ考えたけれど、やっぱり私は私の思ったことを書くことにします。「お前はもっとこじらせ女子について書けー!!!」と言われたわけでも無いので、この宣言自体よくわからないものなのですが…。自分自身への戒めでございます。

 

その後「女子をこじらせて」は読了しました。「うっ…!!」とダメージを受ける場面や記述も多く、読み返すことが少し難しい状況です。というのも、私は物語の中に深く入り込んでしまう気質で、1度入ってしまうとなかなか抜け出せないことがままあるのです。春休みも終わりが近づいていますし、正常な精神を保つために、しばらくは刺激の強いものを見ることは避けようと思っています。

けれど、「女子をこじらせて」という本の存在からただただ逃げるだけという格好をとるのはなんだか嫌だったので、とりあえず松尾カンパニー監督のAVを借りてきました。女優は由愛可奈(ゆめかな)さんです。いまウィキペディア見たら、1歳違いでした…!なんと…っ!ちゃんと働いてて偉いなあ…。

感想をブログに書く予定です。あえて、Amazonやネット上の評価を見ないで書こうと思います。みなさんがどんな風にしてAVを評価しているのか。私とみなさんでAVの見方の違いはあるのか。楽しみです。

 

 

で、刺激をうけるものは見ないと決めたわたくしですが昨晩、映画「17歳のカルテ」を観てしまいました…(以下、ネタバレあります)。

 

 

好きなブロガーさんが以前ブログで紹介していて、ずっと見たかったのです。それに加えて、私は精神病院物が好きなのです。「カッコーの巣の上で」を観た時から、精神病院という場所に特別なものを感じ、またその中で過ごさなければいけない人たちにも興味を抱きました。

 

主人公のスザンナは薬物の大量摂取がきっかけで精神病院に入ることになります。親に強制的に入れられたようなものなので、始めはものすごく嫌がります。ですが、リサという女の子と仲良くなり次第に精神病院の中で生きることに違和感が無くなっていきます。最終的にスザンナは退院しますが、リサや他の入院患者について詳しくは語られません。

観た後はとにかく不安定になってしまって「深夜に観るべきでは無かった…」と思いました。けれど、同時に心地よさも感じました。それはまぎれもない<懐かしさ>でした。

 

なぜ懐かしいのか。

私も、彼女たちと同じ17歳の頃、あまり健全な人間ではなかったからです。

高校生という思春期まっただ中の私は、死にたいという気持ちがとても強く、カウンセリングに通わなければいけないほどでした。一時は体重が36kgで、とても顔色が悪かったです。拒食症・過食症という症状は出ませんでしたが、秋は決まって体調を崩し、おかゆとやわらかいものしか食べられない生活を送っていました。アニメキャラクターに心酔し、常に芝居がかった振る舞いをして自分で自分を苦しめていました。

主人公のスザンナも、ほとんど意識的に自分を傷つけているように見えました。セックスやタバコやドラッグで自分を惑わせ、傷つける。わがままで怠惰でどうしようも無い人間、そう言われても仕方がないのかもしれません。けれど、彼女はこわいのです。苦しいのです。自分と向き合うことも他人と向き合うこともこわい。将来も見えない。だから自分を傷つけ、その場をしのぐ。

リサという過激で攻撃的な女の子と仲良くなってから、彼女はずいぶん病院に慣れてきます。看護師のことは好きじゃないし、薬はまじめに飲まないけれどリサがいれば大丈夫。そんなスザンナを見て、胸が苦しくなりました。スザンナ、誰かによって自分が変わることを期待してはだめだよ。誰かを自分の中で大きく大きく育ててしまえば、その人が全てになってしまう。それは、誰にとってもいけないことです。

 

そんなスザンナに看護師は言います、ここに安住してはだめだと。

その通りなのです。スザンナはリサと仲良くなったことによっていろんなことを知りますが、余計なこともいっぱい知ってしまったし、中の世界に馴染みすぎてしまった。居心地が良いのは悪いことでは無いけれど、いつかは出て行かなくてはならない。それもなるべくはやく。

精神の世界は一度入ってしまえば、抜け出すことは容易ではない。それを「甘え」だなんて言わないけれど、一度入ると出ることが本当にこわくなる。とてもこわい。自分で外に出ても、引きずり戻されることもある。その恐怖を味わうくらいならどっちつかずのほうがいい、自分ではどうにもできない、コントロールがきかない、うまくできない、ボーダーが、境界線がうまくひけない。

 

映画の終わりがけにスザンナは<自分は異常だったのか>と問います。自らにか、私たちにか。

「世界が異常なのか。心が壊れてしまったり、つらい秘密を持っても、異常ではない。揺れが大きいだけ」

その通り。感情の揺れが他人より少し大き過ぎるだけ。それを認めてしまえば、あとは少し楽になれる。私はそう思います。

 

この映画はストーリーもさることながら女性たちが美しいです。好きなシーンがいっぱいあります!

タクシーのシーンなんか秀逸でした。会話は最高に気分が悪くなりましたが。<あんたは何をやった?"普通"に見えるが>

それから、スザンナの衣装がとっても可愛かった!!でも2回ほど、しましまの洋服を着ていて「これってボーダーってことだよね…」と思ったり。

衣装とウィノナ・ライダーアンジェリーナ・ジョリーを眺めているだけでも十分楽しめる映画だと思います。精神が不安定な方は要注意です。