別れてからの私は彼の夢を見るか?
彼の夢を見た。
なぜ夢の中でまで彼への想いで苦しまなければいけないのか。そう思い、二度寝する。(この二度寝は、もう一度彼の夢を見てしまうかもしれないが、彼の夢を見たことを忘れたいという逃げなので、吉と出るか凶と出るかは寝ないとわからないのである。)
そういえば、友人から久々にみんなで集まろうというメッセージが来ていた。だから、彼のことを思い出したのだ。私は彼に気を遣わせたくなくて行かないつもりでいたが、いつまで経っても彼の書き込みが無いので、出席することにした。
私と会いたくなくて欠席するのかもしれない。私を気遣って欠席するのかもしれない。私のことなど関係なしに行きたくないのかもしれない。もしかしたら、当日会えるかもしれない。
わからないのだ。
彼からもらった唯一の物を眺める。ルービックキューブだ。未だ完成していない。
「これ、本当に借りていいの?」
「いいよ」
「なんだか申し訳ないな」
「じゃあ、完成したら返してくれたらいいよ」
私は完成させるつもりがない。
彼にあげたぬいぐるみはどうなっているだろうか。部屋にあるのだろうか。私の思い出と共に捨てられてしまったのか。
会いたいのである。
男友達とふたりで歩いていても、彼に見られたらどうしようと気が気でない。いつ会ってもいいように、おしゃれして街を歩く。バスを待つあいだもやたらと遠くを眺めてみる。いつ見られてもいいように。伏し目がちな私をみつけてほしい。
けれど、会ったときのことばはみつからない。どんなふうに、どんな声で話せばいいのか。もう、わからない。