聲の形1巻 人それぞれの聲の形
聲の形(こえのかたち) 1巻 作者・大今良時
一時期ネットで話題になっていたので購入してみました。絵が可愛らしく、特に女の子が魅力的に描かれています。
1巻は、主人公たちが小学生のときのお話です。
可愛らしい絵柄とは裏腹に、この漫画恐ろしいです。正直言って、あまり読み返したくなる類の話ではありません。
このお話の肝の部分は「聲」です。「聲」は旧字体で、現在では「声」と書かれます。旧字体には「声」と「耳」の両方の漢字が入っています。
硝子ちゃんは、耳が聞こえません。
彼女はそのことがきっかけで同級生とうまくいかず、主人公にも散々な目に合わされます。
で、1巻の最後のほうで主人公はみんなの「聲」が聞こえるようになります。しかし、それは口に出す聲ではありません、心の聲です。心の聲なんてものはその人が本当にそう言っているかどうかわからない不確かなものです。けれど、心の聲が聞こえるようになります。おそらく彼の精神的な問題だと思います。
硝子ちゃんは耳が聞こえないという他人とは違った部分がありますが、そういった障害を持っているからか人一倍優しい女の子です。
一方、将也はあまり人の気持ちに敏感だとは言えないようです。しかし、小学生時代の西宮硝子の気持ちを味わった彼がこれからどういう風に変化していくのか。
「口から出る聲」と「心の聲」。聲の形は人それぞれで、将也がそれに気づいてくれればいいと思います。
心の聲に耳をかたむけるって大事なことです。たまには自分の聲を聞いて、問いかけて、それを言葉にするという作業が人には必要なんじゃないかなと思います。
いじめのシーンが出てきたり、争ったり、読んでいて楽しい!燃えるぜ!みたいな漫画では無いんですが、こういう世界もあるよと教えてくれた作品でした。
「耳が聞こえません」のシーンでグッと何かを持っていかれそうになったので、2巻からが勝負の作品だと思います。