おおきくなりたくありません

すきなものはたくさんあります。苦手なものはこころのほつれ。

物語

冬が終わるまでに

11月が来て、毎日楽しすぎることも辛すぎることもなくて、普通ってこういうことなのかなって日々。 笑い声の大きい同級生、授業のつまらない先生、席を詰めてくるおばさん。気に障ることもたくさんあるけど、冬の始まりの冷たい空気は、張り詰めていて、何も…

女神のセックス

あんたさあ、アレって本当なの?アレだよ、あの男としたって話。 まあ本当だね。 なんで?なんでなわけ?よりによってって感じじゃん。何を考えてるのよ。 何をって、別に私なりに、まあ、してもいいと思ったというか。むしろしたかったのよ。 どうしてあい…

薔薇の足跡

王子様になりたがっていた君の使い魔がわり の仔猫はもう小さなままじゃない。温室を抜 け出して駆け回る姿は、猫のように自由で花 のように笑っていた。薔薇の指輪に導かれな くてもどこでもどこまでも行けるって教えて くれたのは、他でもない君自身だった…

いとおしい

愛しいとみつめる瞳とその声とあなたが一番愛おしい。

まだ出会っていない誰か

物語と戦う私たちはいつも主人公 にはなれないまま走っている。汚 れた血を抱えてまだ出会っていな い誰かをさがしているけど、どこ にいるのか、本当にいるのかもわ からない。ほとばしる汗も瞳の輝 きも全部嘘で、吹く風だけが本物 なんだ。君をさがしてい…

Fish

ラブホテルにこそ愛が存在する。 掃除も料理も洗濯も恋愛の前には関係ない。 二人はただ求めあう、それだけ。それだけで毎日がまわってゆけばいいのに。

秋だけが近づいてくる。

死は近づいてきてはくれない。 私が近づいて行くだけ。 詩はおりてきてはくれない。 ただ大地から湧き上がってくるもの。 私が感じられないだけ。 人生がつらくて泣いている。 何がつらいのか自分でもわからない。 ただ、泣けるうちはまだ大丈夫かもしれない…

八月のセレナーデが終わる日

八月ももう終わっちゃうね。 夏の思い出は出来た?人生 であと何回夏が来るのか知 りたいけど、わからないか ら、知りたいの。夏の花が 好きな人は夏に死ぬと太宰 が書いていたけれど私は夏 の花を知らない。夏の思い 出はいつもUFOと、Tシャ ツに沁みた汗の…

たいない

あなたに出会うために生まれてきたんじゃないかと本気で思い始めている。私のこと、あなたの全部で好きって言っててね。いつでも心の隅に置いてね。私をそこに住まわせてね。あなたの部屋はきっとあたたかくて優しいところ。私はかつてそこにいたような気が…

電波は下水道とかにつながっている

電話をかけて相手があまりにも出ない時は、xxxxxxという名前の誰か別の人にかけてしまっているのかもしれないと思う。もしくは、下水道か宇宙につながっていて、相手は一生出るはずなんてないのだと想像する。ラインもメールも返ってこないなら、私はどうす…

君の首をしめる夢を見た。

最近銀杏BOYZの歌に回帰している。 特に聞くのは「光」という曲。歌詞もメロディも好きなのだ。高校時代の自分を重ねあわせて聞いてしまう。 私は君を救いたいと思うし、私は誰かに救われたいと思っていた。首をしめるのは死にたいからじゃない。結果的に死…

For

今までの私は弱い男性を好きになることが多かった。機能不全家庭で育った男性だったり、愛された経験が少ない男性だったり。そういう人を好きになって、彼にも好きになってもらって許して受け入れて必要とすることが私の喜びだった。いま思えば本当に暗い欲…

僕の中のあなた

先輩が僕のことを好きでないことはずっと知っていました。好きでないっていうのは語弊があるかな。僕のことを見ていなかった、のほうが近いかもしれない。いや、もちろん大切にしてくれていたのは知ってるんです。だってあなたはいつも僕を優先してくれまし…

君は、

優しい文章を書く人だな、と思った。彼の書く文章は夢の中にいるような、短編小説を読んでいるような気分になる。きっと繊細で優しくてだからこそ傷つきやすい人なのだろうと想像してみる。彼は距離感で言えば、文通やメール友達になるととても素敵な人だろ…

憂鬱のトンネル

憂鬱というトンネルの中に入って行く時、自ら望んで入ったはずなのに抜け出せない抜け出したいと叫んでいる馬鹿が私です。自分を壊したいという衝動に駆られた時、どのように自分を壊すかというプランがまず浮かびます。体に傷をつけること、男の人に自らを…

どうかお元気で。

お父様へ お元気ですか。あなたの娘はいま睡眠剤でぼんやりした頭でこれを書いています。 最近学校へ行くことがとてもつらくて、困っています。たぶんお父さんのことが原因なのだと思います。原因と言っても私が勝手に思い悩んでいるだけですが。 おばあちゃ…

待ち合わせ場所はいつものコンビニだった。いつもと言っても菜摘は引っ越してからそのコンビニには全く行っていなかったのだが、中高時代によく待ち合わせした名残からか、咲からのLINEには<いつものコンビニで>と書いてあった。雑誌の立ち読みをして時間…

どうしようもないアズマくんのジレンマ

「アメリカに行こう」とアズマくんが行った。私はまたか、と思った。またか、という反応をしてしまったのは、なにもアズマくんが年がら年中アメリカに行きたいと言っている人だからではない。また彼のクセが出たな、と思ったのだ。突飛なことを言うのが、こ…

もっと深くて絶対的で、揺るぎのないものが欲しいの

<私の父親になってくれませんか?> 彼女から届いたメッセージは簡潔で意味の分からないものだった。 彼女とは2ヶ月前、心療内科のグループで出会った。クリニックの患者同士で週に2度行われるグループワークでは、自分の過去の体験や現在のこと、これか…

もう先輩なんて呼ばない

私の先輩は国民年金を払っていない。将来年金がもらえるかどうかわからないからだそうだ。先輩は未来を信じない。信じられるのはいまの自分だけだから、いつも私に500円を借りてくる。絶対返してくださいねって言っても、未来の俺のことはわからないだって。…

レイコは男と交われない。

「今日はしないの?」 レイコの体が固まる。ああ、やっぱり言われてしまった。仕方のないことだけど、断るということはとても、つらい。 「ごめんなさい…今日もちょっと」 それしか言えない。言葉でつくろっても無駄だ。私ができないのは事実だし、応えられ…

人間でなくなることがこわい

人間でなくなることがこわい。 近頃の私はおかしい。鼻がきいて仕方ないのだ。きれいなお姉さんがつけている香水も、自分で買ってきたディフーザーも、犬の糞も全てくさいと感じてしまう。においに敏感で、他の人がわからないにおいまでわかってしまう。 今…

緑という少女

カレンダーを指でなぞって日にちを数えてみる。5日遅れ。まだ、きていない。毎月のそれは緑にとってとても大事なものだった。生きている証。自分が女である証。どうしてこないのか考えてみても確かな理由はみつからない。まだ男性を知らない彼女が妊娠してい…

直子という女

鏡に映る自分の裸が日に日に女らしくなっていることに直子は気づいていた。ドライヤーをかけ終わった髪の毛を優しくブラシしながら、自分の裸をまじまじと見つめた。乳房が以前より膨らんでいる。それに、全体的に体が丸みを帯びてきた。小学生の頃に見た保…

水槽の中のわたし

「もう、みーちゃんと一緒に死のうか」ママは言った。「何にも良いことが無いもの、私ばかり損してる…」 「死んだって良いことないよ」 ママは答えずに、時計をみつめていた。明日は月曜日だから仕事のことを考えているのかもしれないし、秒針の音が気に触る…