あなたの背中を追いかけるつもりでいた

 

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どちらも雨宮まみさん関連のこと。こじらせ女子と言う文言が流行っていたということもあってか、どちらも結構な人数の方が読んで下さった(普段は訪問者数2とかなので、その基準から言ったらすごい)。

沈黙することが一番スマートな気もするし、私は確かにショックを受けているけど、それがどれほどのものなのか自分でもわからない。

楽しそうに生きている彼女を、自分の人生の指標にしてきた。今年に入ってからは、自分の物欲だって我慢しないで、高価なものも買って、たくさんおしゃれもして、文章もバンバン書いていた。だから、調子良いね、脂のってるなって思っていた。

彼女の著作も相変わらず買っていた。インテリアやおしゃれについて思うこと、ファッションと自意識、私が読みたいこと知りたいことがそこに書いてあった。挫折や失敗を繰り返しながら進んでいる彼女を見ていると勇気をもらえた。

死ぬまでに何千回だって思い切り笑って、愛されて、陽の当たる大通りでスキップするんだ。私もそうなりたい、なりたいって思っていいんだ。なんで今までこんなに閉じこもっていたのか。それとも閉じ込められていた?どっちにしたって、私は早くここから抜け出さなきゃ。あなたの背中を追いかけなきゃ。

でも、もう追いつけない。私が目指したのはそこじゃなかった。いや、かつてはそここそが天国で、私はそこに行きたいって涙が出るほど切望していたけれど、素敵な人や楽しそうにしている人を見て、そこに行くのをやめようと思った。また行きたくなるかもしれないけど、とりあえずもう少し生きてみようかなと思ったのだ。

あなたがいなくなった後はどうすればいいのか。もちろん人間はたくさんいるから、私は今この文章を書きながら、時と人とあるいは文章や映画や音楽が私の心を癒すことを知っている。

とりあえずもう少し生きてみようかなという感情が、私の中で途切れるのがこわい。みんな悲しくなってしまってあっちにいっちゃうと思うとこわい。私は死ぬのがこわい。誰かが突然いなくなることがこわい。もしかしたらあなたもそうだったのですか。

冬が終わるまでに

11月が来て、毎日楽しすぎることも辛すぎることもなくて、普通ってこういうことなのかなって日々。

笑い声の大きい同級生、授業のつまらない先生、席を詰めてくるおばさん。気に障ることもたくさんあるけど、冬の始まりの冷たい空気は、張り詰めていて、何もかもを美しく見せる力がある。

まあ仕方ないか、と納得してしまうような冷静な冷たさ。

君の存在は相変わらず遠くて、私のとなりには誰もいない。君のとなりにも誰もいないはずなのに、美しく強く見えるのはなぜだろう。

ねえ、あの子があなたを好きだって知ってる?

あの後輩があなたをかっこいいって評してたよ。

全部教えたあと、耳元でささやきたい。

 

「でも誰よりもあなたを知ってるのは私。私、あなたに一番を全部あげる」

 

一番好きも一番嫌いも、私を一番泣かせるのもあなた。

冬が終わる前に、私に気づいて。

 

じゃないと、溶けて死んじゃう。

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女神のセックス

あんたさあ、アレって本当なの?アレだよ、あの男としたって話。

まあ本当だね。

なんで?なんでなわけ?よりによってって感じじゃん。何を考えてるのよ。

何をって、別に私なりに、まあ、してもいいと思ったというか。むしろしたかったのよ。

どうしてあいつなわけ?あの人が他の女の子と遊んでるのも知ってるはずじゃん。大体、彼女と付き合う前から他の女の子と天秤にかけてさ、そういうの間近で見てきたはずでしょあんたは。

間近で見たきたからこそよ。あの人も、ようやく遊ばなくなってきたから。

はあ?去年だって山本とやってたじゃん。その話してたのあんたでしょ。

でも、それはもう終わったし。私にも、大体わかってきたから。

何が。

彼はね、もうモテないよ。かつてほどの魅力はないもの。容姿は衰えるし、ありあまるほどのお金があるわけじゃない。彼はもう、第一線の人間じゃないの。それをあの人自信がわかってきてる。だから過剰な自信ももう無い。もうすぐ、あの人には何も無くなっちゃうの。

それと、あんたとあいつがしたことと何の関係があるわけ。

女神になるのよ、あの人の。傷ついたあの人の、女神になるの。私は最後の女になりたいの。美しくも強くもなくなった、本当は何の魅力もない空っぽなあの人の、女神になるのよ。それは私にしかできないし、私ならできることだと思うの。そのために、見てきたんだから。

…女神になってどうするのよ。

あの人の子どもを産むのよ。その子はきっと天使みたいに愛らしいわ。私はその子をあの人みたいに育てたいの。

あんた、意味分かんないよ。おかしくなっちゃったわけ?

おかしくなんて。あの人に比べたら私は普通よ。でも、あんな空っぽな狂人と暮らせるのは私だけだから。

彼女の携帯が震える。いや、もしかしたら震えていたのは私なのかもしれない。おそらくあの男からのメッセージだろう。女神?何を言っているんだろう。あんたは誰よりもあいつを憎んでいたじゃないか。殺したいって言っていたこともあった。なのにあいつのところに行くんだね。結局あいつの一人勝ち。女神?あんたは既に女神だったよ。愛すべき女神。でも今日からあんたは一番憎い女神になった。醜くなれ。お願いだから、早く醜くなってくれ。その男と共に、見えないところに羽ばたいていってくれ。

薔薇の足跡

王子様になりたがっていた君の使い魔がわり

の仔猫はもう小さなままじゃない。温室を抜

け出して駆け回る姿は、猫のように自由で花

のように笑っていた。薔薇の指輪に導かれな

くてもどこでもどこまでも行けるって教えて

くれたのは、他でもない君自身だった。手を

離そう。さがしているのは僕じゃない。一人

でも歩いて行けるなんてありきたりな台詞は

言わないよ。君はすでに一人じゃない。